全国平均1000円では低すぎだ

政府は3月22日に開かれた経済財政諮問会議で、「最低賃金をより早期に全国平均1000円とすることを目指す」としました。

政府は22日の経済財政諮問会議(議長・菅義偉首相)で、新型コロナウイルス対策で再発令した緊急事態宣言の解除を受け、今後の経済再生策を議論した。菅首相は「最低賃金をより早期に全国平均1000円とすることを目指す」と強調。東京一極集中の是正と地域経済の活性化を目指し、大企業から地方の中小企業への人材派遣を強化するため、「政府系ファンドを通じて金融機関や商社などから1万人規模の人材をリストアップする」と述べた。

時事ドットコムニュース 菅首相、最低賃金「早期に1000円」 地方へ人材1万人―諮問会議

しかし、この目標は、低処遇で苦しむ労働者の生活を良くするためではありません。官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)を利用した「大企業から地方の中小企業への人材派遣」とセットになっています。コロナ危機に対応するための雇用調整助成金の特例措置のあり方について話題になり、労働力の移動を促す形になっています。

最低賃金の地域間格差が大きくなる中、民間議員からは地方の最低賃金のボトムアップが要請されましたが、いずれにせよ、時給1000円では低すぎます。時給1000円でフルタイム働いたとしても、年収は200万円以下です。

現在、東京と神奈川では、地域別最低賃金は時給1000円を超えています。引き上げのスピードを落とす必要はありません。

中小零細企業への支援と一体に、全国一律、時給1500円を目指すことで、非正規労働者の処遇改善、地域経済を活性化できるでしょう。