ユニオン・合同労組連絡会が最低賃金の再改定に向けてアピール

ユニオン・合同労組連絡会は11月27日、最低賃金の再改定に向けたアピールを総会で決定しました。


最低賃金の再改定を実現しよう!

10月に新最低賃金が発効した。全国で30円~33円引き上げられ、全国加重平均は961円になった。しかし引き上げ額は物価上昇率に届かない極めて不十分な改定だった。
日本の最低賃金は、欧米に比べて著しく低い。また、地域別最低賃金により地域格差が大きいなどの問題がある。私たちは、全国一律1500円の最低賃金を実現するために、全国で取り組みを強化してきた。
今年の最低賃金改定の大問題は物価上昇である。中央最低賃金審議会が目安を出す根拠とした「公益委員見解」は、『最低賃金改定の3要素』を以下のように判断している。
(ア)今年度の賃上げは、今年4月以降の消費者物価の上昇が十分に勘案されていない。
(イ)物価上昇率は「基礎的支出項目」も勘案しつつ、「持ち家の帰属家賃を除く総合」の物価上昇率3%を一定程度上回る水準を考慮する必要がある。
(ウ)通常の事業の賃金支払い能力については、改善傾向がみられるものの、賃上げ原資
を 確保することが難しい企業も少なくない。こうした判断から、結論として、地域間格差への配慮の観点から、A・Bランク31円、C・Dランク30円を引き上げの目安とする。
一方、公益委員見解は、地方最低賃金審議会に対する期待として、『今後、公益委員見解の取りまとめに当たって前提とした消費者物価等の経済情勢に関する状況認識に大きな変化が生じたときは、必要に応じて対応を検討することが適当である。』として、物価がさらに上昇した場合の再検討を示唆していた。
その後、物価上昇はとどまるところを知らない。10月の対前年同月比の物価上昇率は、総合指数では3.7%、持ち家の帰属家賃を除く総合指数では4.4%、基礎的支出項目は5.5%の上昇であった。まさに公益委員見解の『消費者物価等の経済情勢に関する状況認識に大きな変化が生じ』ている。
フランスでは最低賃金に物価スライド制が導入されており、通常の改定も含めて、今年になってから3回の改定が行われた。合計5.5%の引き上げが行われている。ドイツも今年1月、7月、10月と3回の改定を行った。合計25%という大きな引き上げを行っている。
最低賃金法第12条には、『厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、地域別最低賃金について、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して必要があると認めるときは、その決定の例により、その改正又は廃止の決定をしなければならない』とある。必要なときはいつでも改定できることになっている。物価高騰はまさに非常事態である。年1度の最低賃金の改定では追い付かない。今こそ、再改定が必要だ!
物価高騰の中、低所得者層、最低賃金近傍で働く労働者は、食料確保にも困難をきたすような冬を迎えようとしている。政府も言うように最大の経済対策は賃上げである。政府にできる賃上げは、唯一、最低賃金の引き上げであり、的確な中小企業対策を伴えば、最大限の効果が発揮できる。年内に厚生労働大臣や労働局長が最低賃金審議会に諮問を行えば。来年4月からの最低賃金の再改定・発効が可能である。
既に、いくつかの地方労働局長に対し再改定諮問の要請が行われ、厚生労働省に対しても最低賃金再改正の要請が行われている。いっそう多くの地方労働局長に対する要請に取り組み、労働組合の総力を挙げて、世論を盛り上げ、最低賃金の再改定を要求し実現しよう。

2022年11月27日 ユニオン・合同労組連絡会第7回総会