最低賃金闘争アピール

2020年の春闘は、最低賃金引上げが重要な闘争課題となる春闘である。

今までの春闘は、「賃金をいくら引き上げるか」が中心的な課題であったが、今年の春闘は、格差を是正するとともに、「賃金はいくらであるべきか」が中心的な課題となる春闘である。すなわち「賃金の絶対額」を重視する春闘の本格的な始まりといえる。もちろん、労働団体、産別組織によって、その位置づけやアプローチの方法に違いはあるが、共通していえることは、最低賃金の大幅引上げが必要なことである。なぜなら、最低賃金は、賃金制度の土台であり、人間が人間らしく社会生活をおくる最低限の所得保障である。

日本には2100万人を超える非正規労働者が存在し、約1600万人が年収200万円未満のワーキング・プアといわれている。地域別最低賃金は、水準が低いばかりでなく、地域間格差が拡大し、低賃金で働く労働者の声が反映できない密室審議会で決められている。

AI(人工知能)など科学技術の発展は、労働者の雇用を奪い、社会の格差をさらに増大させるといわれている。経団連は「脱・日本型雇用システム」を掲げ、新卒一括採用、長期・終身雇用、年功型賃金を見直そうとしている。そして、安倍政権は「全世代型社会保障」を社会労働政策の重点に据えている。いまこそ、社会の「底支え」を強固にしなければ、貧困と格差がさらに拡大することは明らかである。

最低賃金大幅引上げキャンペーン委員会は、世界的に呼びかけられた「ファイト・フォー・15ドル」に応えて、最低賃金問題に取り組んできた労働組合が、2016年にナショナルセンターを超えて結集した共闘ネットワークである。「最低賃金時給1500円をめざして、いますぐどこでも時給1000円に」をスローガンに活動してきた。2020春闘にあたって、最低賃金の大幅引上げと地域間格差の解消をめざして、多くの労働組合が企業を超えた共闘をつくり、非正規労働者とともに次の取り組みを行うことを訴える。

1 「最低賃金時給1500円、全国一律制の確立」を掲げて、職場討議、学習会を積み上げ、「最賃活動家」を養成すること。

2 企業内最低賃金、産業別(職種別)最低賃金の引き上げを行うこと。

3 公契約条例制定や地域最賃条例(仮称)制定など、地域における実効ある最低賃金の制度づくりを行うこと。

4 中央・地方最低賃金審議会に低賃金で働く労働者の声が反映できるように働きかけること。

5 労働NPO、市民団体とも連携し、社会的な運動として展開すること。

2020年2月

最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会