全国一律最低賃金制度を求める意見書を採択 北九州市

北九州市議会は6月16日、「全国一律最低賃金制度の段階的な実施を求める意見書」を採択しました。

平和・労働・人権北九州共闘センターが3月16日に陳情していたもので、維新の会を除くすべての会派が賛成しました。


 1978年から各都道府県をA~Dのランクに分け、地域別最低賃金の額を各地方最低賃金審議会が各都道府県の労働局長へ答申する、いわゆる目安制度が導入され、最低賃金額の地域間格差を是正する制度が導入されました。

 しかし近年、最低賃金の地域間格差はむしろ拡大傾向にあり、全国の地域間最低賃金額の格差を是正する機能を持つはずであった目安制度は、有効に機能しないどころか、その格差を定着化させる制度になりつつあります。

 そもそも最低賃金は労働者の生計費とともに、賃金及び通常事業の賃金支払能力を考慮の要素としていますが、賃金や企業の支払能力の差異は、地域ではなく企業規模や職種による差異が多いことが明らかになっています。

 また、地域別の最低賃金を設ける要素ともなっている生計費については、都市部と地方との間で大きな差が無いことが団体の調査によって明らかになっています。

 むしろ医療機関で受診する金額や車検の法定費用等、費用負担については全国一律のものがある反面、最低賃金に地域間格差があるのは矛盾しているところであり、引き続き地域別最低賃金の目安制度を継続することは地域間の経済格差を固定させ、地方から大都市への人口流出の原因を放置することに繋がり、結果として国民経済の健全な発展を阻害することになります。

 よって、本市議会は、政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。

1 全国一律最低賃金制度を段階的に設けること。

2 全国一律最低賃金制度の導入に当たり、影響を受ける中小企業等への事業者負担を軽減する積極的な措置を講じ、中小企業に大きな負担を強いることのないように配慮しながら、段階的に地域間格差の是正に取り組むこと。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。