新型コロナウィルス感染症の経済に与えた影響が大きいため、2020年度の最低賃金はほとんど引き上がりませんでした。現在、地域別最低賃金の全国加重平均は、時給902円です。
あなたが働く地域の最低賃金は、厚生労働省のホームページでチェックすることができます。
コロナ危機だからこそ上げるべきだった
新型コロナウィルス感染症は、私たちの生活を大きく変えています。仕事がなくなって解雇されたり、シフトが大幅に減少して収入が減るなど、たくさんの労働者が苦しんでいます。
その一方で、金融市場は、2021年2月末に日経平均は、30年ぶりに3万円を超えました。
こういう時だからこそ、最低賃金を引き上げて労働者の生活を支え、それと同時に、十分な中小企業対策を行うべきでした。
いま、ここまできても、この先どうなるかまだ見えてきません。これは、安心して暮らせる支えがないからです。
人間らしく暮らせるには1500円
最低賃金額は、私たちの暮らしを保障する最低限度でなければなりません。では、それはいくらでしょうか。
人間らしく生活できるための費用を算出する「最低生計費調査」が各地で行われています。それによれば、どの地域でも、時給1500円が必要であることが明らかにされています。
労働者の生計費で決めるべき
最低賃金は、(1)労働者の生計費、(2)賃金、(3)通常の事業の支払い能力の3つを考慮して決めることとなっています。そして、使用者側は、支払い能力を重視するよう主張します。
しかし、最低賃金は、交渉力が弱く、低賃金で働く労働者の生活を支えるための制度です。
たとえば、1円上がったら、どれぐらい倒産が増えるのでしょうか。そうした科学的なデータに基づく議論は行われていません。